「糖尿病網膜症」とは何か
高血糖により網膜血管が傷んでしまい、出血を 起こし、最終的に重篤な視力障害にいたる病気です。40歳以上の中途失明原因の主要疾患です。
糖尿病網膜症は、網膜の状態・進行によって、単純網膜症・増殖前網膜症・増殖網膜症の3つに 分けられます。糖尿病網膜症と診断されたからと いって、すぐに失明するわけではありませんが、初期の段階では、自覚症状もなく進行することが多いため、重症になってから気付くことも少なくありません。
症状は ?
正常な網膜
単純網膜症
増殖前網膜症
増殖網膜症
眼の状態
- 網膜の毛細血管がもろくなる
- 点状および斑状出血
- 毛細血管瘤
- 硬性白斑(脂肪・蛋白質の沈着)
- 軟性白斑(血管が詰まってできる)
- 軟性白斑が多くみられる
- 血管が詰まり、酸素欠乏になった部分がみられる
- 静脈が異常に拡張して、毛細血管の形が不規則になります
- 新生血管が硝子体中にみられる
- 硝子体出血
- 増殖膜の出現
- 網膜剥離
- 失明に至ることがある
自覚症状
なし
ほとんどなし
- 視力低下
- 飛蚊症
- 変視症
治療法は?
単純網膜症の段階では、血糖や血圧をしっかりコントロールすることが大切になります。 血管閉塞が見られるようになる(増殖前網膜症)と、閉塞部位にレーザー光線を当てて、増殖網膜症への進行を予防します。増殖網膜症になると、レーザー光線を網膜全体に当てる治療(汎 網膜光凝固術)が必須になり、硝子体出血や牽引性網膜剥離に対しては、出血や増殖膜を除去 する硝子体手術を行います。
黄斑浮腫には、薬剤の注射、レーザー治療や硝子体手術を行います。
網膜がいったん障害されると、いかなる治療を行っても回復は困難です。予防が一番大切です。
糖尿病網膜症は重症になるまで自覚症状がないことも多く、糖尿病と診断されたら、まず眼科受診をして頂き、その後も医師の指示に従って、かならず定期的に受診する必要があります。