「黄斑前膜」(黄斑上膜)とは何か
眼の底にある光を感じる機能を持つ網膜の上に、通常は加齢とともに自然に剥がれるうすい膜(残存硝子体皮質)が、そのまま部分的に残る場合があります。残ったうすい膜が時間の経過とともに収縮を始め、網膜に変形を引き起こします。
症状は ?
視力に最も関係する網膜の中心部・黄斑に薄い膜ができ、しわを作ります。その為に見えにくくなる病気です。初期には症状はありませんが、進行すると視力が低下したり、左右で色や物の大きさが変わって見えたり、ゆがんで見えます。
原因は?
加齢現象の一つである“後部硝子体剥離”が起こる際に、硝子体と網膜の癒着が強いと硝子体の一部が網膜に残ります。この残った硝子体から細胞が増殖し、膜が出来ると言われています。また、硝子体内に炎症(ぶどう膜炎、網膜剥離術後など)が起きた場合や、外傷、原因不明のこともあります。
治療法は?
黄斑前膜を網膜硝子体手術で剥がさないと良くなりません。
前膜が網膜に強く癒着を起こしている場合、剥がしても残存したり、剥がす時に網膜にダメージ(網膜裂孔)を与えることがあります。この場合、手術中に光凝固をしたり、ガスや空気を入れることがあります。手術をせずに放置すると視力は徐々に低下しますが、失明することはありません。しかし、かなり視力が低下した後に、膜を除去しても視力は回復しません。当院では、1泊2日での手術を施行しております。ゆがみが気になったり、自覚症状が現れたら手術適応かどうか、医師にご相談下さい。